『集まった人たち』公開直前☆いまおかしんじ監督インタビュー!

いまおかしんじ監督クラス受講生による、いまおかしんじ監督インタビュー。
ワークショップから撮影までのエピソードを紹介していますよ☆
(聞き手 演技コース:松竹史桜 制作コース:甘利類、岡崎雅)
 
 
 
—ワークショップ初日の衝撃。
 
岡崎) ワークショップ一日目に、「んーどうしよっか」ってところから始まったじゃないですか。今までで少なからず何人かの監督方のインパクトの授業を受けてきて、その入り方に衝撃を受けました。これがいまおかしんじ監督なのか!みたいな。
 
いまおかしんじ監督、以下いまおか)まあ、みんな初めて会う人たちでしょ。何をするかもまだ、わからない状態でワークショップに来てる。だから、こっちも何するかわかんない位置に一緒にいた方がいいかなあと思って。
 
岡崎)全部ゼロからのスタートにしてみようと?
 
いまおか)うん。俺偉い人です、君らになんか教えますみたいな形じゃなくて。あの・・・みんな馬鹿みたいな(笑)
 
松竹) ワークショップが始まって数日間、制作コース演技コース関係なく脚本を書いてみて、演技コースがそれを選んでエチュード風に演技をするという授業をしていました。演技コースなのに脚本を書くなんて、びっくりしましたし、難しかったです。脚本を書くっていうのは裏方の仕事って勝手に思ってたりもしましたし。
 
いまおか)前に、シナリオ講座みたいものをやったことがあって。書いたりすると、けっこうその人のキャラクターが出ることがわかっていたんだよね。みんなに書いてもらって、それから演技を見てみる、っていう形をとって最初の一週間は演技コースのみんなのキャラクターを見てたよ。松竹難しかった?・・・でもなんか、その時間だけでも焦ったりとか困ったりしたほうがいいんじゃない?一日中じゃなくても、授業の間だけ。
 
岡崎)エチュードの演技から、『集まった人たち』の脚本にそのままスライドしてきたペアもいました。エチュードから脚本にどうやって移行していったのですか。
 
いまおか)この映画では、全員出す・・・出たほうがいいんじゃないかってある時期に思ったんだよね。シーンとシーンがチェーンみたいに繋がって、誰かと会ったらまた違う誰かと会って最後には最初の人と戻ってくるっていうのは構成としては早い段階で思いついてて。俺あてがきとかはしたことなかったんだけど、人物に関しては今回はあてがきっぽくしてみた。役名と本名おんなじにしてやってみたり。
 
 
—撮影準備に溢れるアノ言葉!
 
岡崎)芝居場の候補として監督が考えやすいようにって、美容院とか喫茶店とか、一生懸命探した記憶があります。
 
いまおか)そうそう・・・その、あと組み合わせとかはけっこう悩んだけどね。どれとどれがいいんだろうみたいな。でもなんか最初の組み合わせに戻っていったりしたけどね。
 
岡崎)あぁ、なるほど。あ、じゃあワークショップの最初に役者同士でやった「ねるとん」はけっこう効いてる感じですか。初対面で、本当に気になる人を選んでみて、っていう。『集まった人たち』の脚本のエピソードの中にもありましたけど、佐藤文吾が松竹を選んでいたのとかも生かされたってことですかね。
 
いまおか)それは・・・(笑)。 なんかやっぱり最初のフィーリングとか縁とかってあるのかなあって思って。
 
松竹)あ。でも私けっこう聞いてるの辛かったです。
 
いまおか)なんで?笑
 
岡崎)あぁ。内容も内容で、松竹って本名で言われちゃってるしね(笑)。
 
いまおか)そりゃそうだね。リアルすぎるか(笑)。
 
甘利)そういえば、セリフの読み合わせ中に卑猥な言葉とか出るたび、「松竹これオッケー?」って聞いていましたよね。
 
岡崎)あのワークショップ期間中、撮影準備中でも、リハーサルでも「セックス」という言葉に溢れていましたね。感覚がおかしくなって、よそでもセックスって言いそうになるっていう(笑)。
 
いまおか)あぁ、それはやばいね(笑)。
 
甘利)美術を担当したの碓田さんが劇中で使うセックスっていう文字が一面に大きく書かれた横断幕を作った時、「あぁこれはいいセックスですねえ」って言っていたのを思い出しました(笑)。
 
松竹)私、初めてあの場でセックスっていう言葉を口にしましたよ。高校生になって、山下監督・松江監督・熊切監督と、インパクトを受講して、いまおか監督にきての、セックスっていう言葉に慣れてしまうっていう。ものすごい一年でした。
 
 
—「セックスがしたいけど、できない人たち」
 
松竹)これ・・・あの、みんな気になってると思うんですけど、カットをかけるときの「うーカット!」っていうの、すごく好きでした!
 
岡崎)すごくパワーを感じるカットのかけ方で。あ、これオッケーテイクだ! ってわかる感じなんですよ。力の入りようというか。みんなで現場を見てて、あぁ!次じゃない?って通じ合っていました。
 
いまおか)(笑)。俺、あんま怒鳴ったりとかしないじゃない。だから、なんかメリハリつけたほうがいいんじゃないかって。「バカヤロー!」とか言わないからさ。
 
甘利)意識してやっているんですか?
 
いまおか)いや、あんまり意識してない。癖なんだけどさ。
 
岡崎)いい癖ですね
 
松竹)横目でちょっと視界にはいって見れるときは本当ににもう、嬉しかったです!みんな言ってます。あれ見たいよねって現場では話題で(笑)。
 
いまおか)あ、ほんと(笑)。卓球の福原愛ちゃんの・・・「シャー!」みたいな。ああいうことだよ。
 
岡崎)気合い・・・のような?
 
いまおか)うん・・・シャー!ってやりたいじゃん(笑)。
 
 
甘利)いまおかさんが逆に、役者を代表して松竹さんに聞きたいことあれば。
いまおか)役に立った?(笑)
 
松竹)え!それはもう!まだ、これからも役者をやろうと思っているわけではないので、今後の演技のために役立ったとかではないんです。今後生きていくのに役立つと思います。あの場にいて、あの二週間の授業を受けられたっていうことは・・・これで免疫つきましたよ、いろいろと。
 
いまおか)おぉ。
 
岡崎)どういう免疫?
 
松竹)人生ですかね。特に今回、セックスがテーマで。現場に警察が来ちゃったりって、世間一般的にはよろしくないというか・・・。人間の込み入ったところですよね。そこをテーマにしていく、オープンにしていく、そういう二週間と撮影は本当に・・・。
 
岡崎)人生の糧になった?
 
松竹)はい。あ、単純な話ではありますけど、ピンク映画も普通に見れるようになりました。
 
 
岡崎) 今回の『集まった人たち』は「セックスがしたいけど、できない人たち」というテーマでした。
 
いまおか) 作品として取り扱うもので得意・不得意を考えたときに、金持ちより貧乏、ヒーローよりルーザーな方が得意なのよ。全員貧乏人でもいいし、メインロードから落ちちゃってる人たちを拾い集めてさ。馬鹿にするでもいいし、イジくりたいと思って。まぁ、今回はセックス絡みがいいなと思ったんだよね。
ずっとピンク映画をやっていて、それって一体何かっていうと、セックスを肯定することなんだよね。世の中的にはセックス自体が恥ずべきものだ、みたいな風潮があるなかで、いやいやそんなことないよ、セックスは素晴らしいものですよっておずおずと映画を作るのがピンク映画作り。そんな作業をずっとやってきていて、今回、セックスは素晴らしいけど、なかなか手に入らないものだったり、素晴らしいのはほんの一瞬だったりするよね、ということをテーマにしてみた。そこのところをいろんな人に共感してもらえれば、と思ってるよ。
 
ピンク映画の世界観の裏側をいまおかしんじ監督が描いたという『集まった人たち』。
チェーンのように連なったシーン。限られたシーンの中で見せる出演者たちの関係性。「セックスがしたいけど、うああああ、なかなかできない!」人間の中に誰しもある二面性も描かれています。新宿の街中で「セックス!」と叫ぶシーンにも注目ですよ・・・!
 
4月3日(水)19:00〜Bプログラム『集まった人たち』初日舞台挨拶があります。
よろしくお願いいたします!!!
上映スケジュール詳細はオーディトリウム渋谷HPへ
http://a-shibuya.jp/archives/5405