『水の声を聞く-プロローグ-』主演・玄里さんインタビュー!!

『水の声を聞く-プロローグ-』主演ミンジョン役・玄里さんにインタビュー!
『水の声を聞く-プロローグ-』の制作を通じて、玄里さんが感じた山本政志監督の演出等についてお話を聞きました。
(聞き手:『水の声を聞く-プロローグ-』制作スタッフ 甘利類、岡崎雅)

岡崎) 新興宗教の教祖・ミンジョンという役をやる上で工夫したこととかはありますか?

玄里 声のトーンかな。私は役をやる上で、その人物の年表を書いたりしてバックグラウンドを考えるんです。今回もリハの最中にシナリオには書かれていない部分でわからないことがあって山本監督に訊いたんですね。例えばお父さんはどれだけ会ってなかったのか、いつどうしてお母さんが亡くなったのかとか。そこで衝撃的な一言を言われて。「俺、役作りとか嫌いなんだよね」って言われたんですよ(笑)。

岡崎) あー(笑)。

甘利) 役作りの質問に対してはサービスで答える、と聞きました(笑)。

玄里 そう。それで、あ、こういう監督もいるんだなって。でも、ミンジョンの巫女さんの部分に関してはすごく演出があった。最初に台本を読んだとき、能力がないのに巫女をやってるっていうのは、第一にお金の為なんだろうなと思ったの。お金のためにそれっぽい感じで巫女さんやって、裏では「巫女・・・?よくわかんなーい」みたいな普通の子かなって。でも、監督の演出は、ミンジョンが巫女である時、「金だけ取れればいい」とか、信者たちをバカにして「ケッ」なんて思う子ではなくて、本当に人の痛みがわかる子であってほしいって言われたんです。だから、監督が求めているミンジョンの優しさの部分が伝わる声のトーンだったらいいなと考えてました。お告げを言う時は普段の声とは違うトーンで、そういう声を出せるようにと気を遣いました。

岡崎) 山本監督のワークショップが年をまたいで二つの期間ありました。その時のことを聞かせて下さい。

玄里 私、ワークショップ全部出られていなくて・・・トータルでも一回か二回だった・・・。他の仕事もあって、それは本当に申し訳なかったんですけど、一、二回でも出られて良かったなと思っています。山本監督はワークショップの中でやっていたのは、劇中の会話を日常会話のように演じられるようにする訓練。演劇用の台本を渡されて、自分の言葉に直して演じることを徹底的にやらせて、その先はエチュード。山本監督がそういうスタンスで映画を撮る監督だってわからないで現場に入っていたとしたら「俺、役作りとか嫌いだから」って言われた時に納得できなかったと思う。ワークショップに出たことで、山本監督の求めていない演技を頭に入れることができたかな。

岡崎) 本当に。劇中のバーのシーンで女の子3人が揃う部分、元々の知り合いではないとわかっている私達でも、あの3人って古くから知り合いだったのかな?なんて思うくらい、ハッとする演技でした。

玄里 ありがとうございます。

岡崎) 現場での山本さんの演出について、思うことがあれば聞かせてください。

玄里 すごいやりやすかったです。

岡崎) どういったところが・・・?

玄里 機嫌がよかった(笑)。

岡崎) なるほど(笑)。

玄里 役者のいいところを引き出すのも監督の仕事だなぁって思うんです。現場の経験がなくて、力が思うように出ない役者さんたちも今回の『水の声を聞く』出演者の中にはいて。それでも、絶対諦めずに結構しつこく何回もやらせていいところを引き出す。あと、山本監督も機嫌が良かったから、割と思ったように撮れているんだなと思って安心しながらやっていました。人によっては山本監督は厳しいっていう人はいるんだと思うけど、私はやりやすかった。編集とかはまた変わるんだろうけど、余計思いますよね。ちゃんとしたものにして、今日来て下さった方たちに長編版を見せなきゃなって。

甘利) 済州島での追加撮影は終わったんですよね。それはどういった感じでしたか?

玄里 全てがゲリラ撮影でした。でも韓国ってすごく映画に協力的というか、みんなあまり気にしないっていう性格なのか、一回も注意されなくて。もう順調にいきすぎて時間が余って、「これからどーする?」みたいな感じになって。山本監督も面白いし、撮影の高木風太さんも魅力的な方ですし、いい現場でした。劇中にもある新興宗教のルーツにもなるようなお祭りをちゃんと見に行って。あの人たちはお芝居じゃなくて本物。そういうものが入り込むと映画が締まるだろうなって期待してます。

岡崎) 玄里さんはシネマインパクトに限らずTV・映画等、たくさんの現場に参加されています。役者と映画の制作を志す人たちが映画を作っていく、完全にプロの現場というわけではないシネマインパクトの撮影現場に対して思ったこととかあれば。

玄里 いやいや、そんなことは何も(笑)。ただ、山本さんを信じるしかない現場。これはお世辞でも何でもないんですけど、本当に山本さん以外信じるものが何もなくて、脚本も出来てないし(笑)。でもそれは映画の現場の基本なのかもしれないし。監督を信じてついていくっていう。でも、プロローグを上映した後で長編が完成するっていう面白い流れが出来ているわけだから、どうせなら観たことのないものになればいいなっていうのは、本気で思ってます。

岡崎) そうですね。これから6月に本編撮影があるとのことですけど、そちらに向けた意気込みなどありますか。

玄里 早く脚本を書いて下さいっていうのが(笑)。脚本を待ってます、っていう段階です。

岡崎) では、最後に見る人に一言お願いします。

玄里 こういうプロローグっていう形で見せることは珍しいことで、本当は完成した完璧な状態でお客さんに見せたいところ。でもこうしてお金を払って見てもらっている以上、本当にいいものにしなきゃねって気持ちが引き締まってます。もちろん、私一人でがんばっても仕方ないんだけど。信じるべくは山本監督なので、よろしくお伝え下さい。

岡崎・甘利) 了解しました(笑)。本日はありがとうございました。

2013年4月6日(土)オーディトリウム渋谷にて収録




『水の声を聞く−プロローグ−』2013年|31分
監督・脚本:山本政志
制作:吉川正文、撮影:高木風太、照明:秋山恵二郎、録音:小山道夫、美術:碓田佐紀子、美術協力:磯見俊裕、編集:山下健治、整音:上條慎太郎、音楽:Dr.Tommy、メイク:横塚鉄也、制作スタッフ:岡崎雅、藤原諭、清水裕、佐々木裕文、石戸良、竹原伸彦、小松崎敦史、鶴岡由貴、栃本尚人、甘利類、特別協力:鄭賢珠
出演:玄里、鎌滝秋浩、小田敬、高橋美穂、齋藤隆文、樫原由美子、松崎颯、中村夏子、西尾英子、間部祐介、富士たくや、高木悠衣、久保麻理菜、田川太一、山田将生男、かわはらゆな、牛丸亮、柴田千紘
◆ミンジョンは、新宿コリアンタウンのシンバン=巫女。彼女の元をおとずれる、様々な苦悩を背負った人々に、水と緑からのメッセージを伝える。傷ついた魂に水の声は、届くのか。

『水の声を聞く-プロローグ-』上映スケジュール
4月15日(月)21:00〜
4月18日(木)21:00〜

オーディトリウム渋谷
http://a-shibuya.jp/archives/5405
シネマ☆インパク
http://www.cinemaimpact.net/